2025.12.17
12月10日(水)に舞台挨拶付き完成披露上映会を実施いたしました!
高杉真宙、伊藤万理華、深川麻衣、安藤裕子、向里祐香、安田顕、森ガキ侑大監督が登壇し、日本初上映の喜びを分かち合いました。

映画上映前、大勢の観客の前に立った高杉は「この映画は1年半ぐらい前に撮影したもので。こうしてようやく皆さまに届けられるということで本当にうれしく思います」とあいさつ。
森ガキ監督も「今日は久しぶりに役者陣の皆さんとお会いできて、この映画がようやく皆さん観ていただけることに、ちょっと熱い気持ちがこみ上げてきました。すごくハートフルな映画になっていると思いますので、今日は楽しんで帰ってください」とコメント。ようやく観客の皆様に作品を届けられる喜びを明かし、豪華キャスト陣が集結した舞台挨拶がスタート!
冒頭、ヨーロッパ・エストニアで開催された「タリン・ブラックナイト映画祭」で最優秀撮影賞を獲得したことに触れられると、そのトロフィーが場内に。

森ガキ監督は「これはスタッフ全員と、そして役者の皆さん全員で取れた賞だと思っています。ヨーロッパの方たちからは『すごく詩的で美しい映画だった』と評価していただきました」と誇らしげ。
会場からは温かい拍手が送られる中、トロフィーを見ながらコソコソ話しで盛り上がる役者陣。その理由を問われると、安田が「素晴らしい盾なんですけど、中(の絵柄)は犬なのか猫なのかオオカミなのかって。キャスト陣は誰も監督の話を聞いてなかった」と暴露し、会場は大笑い。作品タイトルに犬と猫が入っているだけにどうしても気なった様子。ちなみに、森ガキ監督によると、この絵柄は「オオカミ」であるとのことである。
本作で高杉が演じる山吹は、他者を思いやるとにかく優しい人物として描かれている。彼がそんな役を演じるにあたり、心がけたこととは何だったのだろうか。「彼を演じる中で、彼がどういう風に山吹という人になっていったのか、その過程は理解できるなと思います。きっと“優しい”という言葉が嫌いなんだろうなと思って演じていました」と役柄を分析。さらに、「僕自身は“優しい”という言葉はあまり褒め言葉だと思ってないというか…。客観的に見て、『優しい』と言ってもらえることって、意外と自分のためだったりすることも多いですからね」と自身の考えを明かすと、優しいという言葉に込められた深い心理を説いて場内を唸らせていた。

一方、山吹の小学校時代の幼なじみ・頼を演じた伊藤と高杉は今回で3度目の共演。「もちろん役によって雰囲気がガラッと変わる方だなという印象はあるんですけど。でも、高杉さんは高杉さんだな、みたいな」と、高杉への信頼感を伊藤がコメント。高杉も「でも最初にご一緒した時よりお話することができたと思います。お互い大人になりました(笑)」と今回の撮影を振り返っていた。

山吹の初恋相手・かな子を演じた深川は、自身の役どころについて「分かりやすい言葉を使えば『あざとい』女性のくくりになるかもしれない」と分析する。「でもそれだけじゃなくて、小さい頃からの母親との複雑な関係があったり……100%意識していたらあざといになるかもしれないですけど、無意識でやってしまっている部分もあるのかなと。かな子の人生をぜひ見届けてほしいです」と印象的な役柄をアピールした。

劇中でのかな子は、山吹をめぐって、伊藤演じる頼と三角関係のような関係性にあるが、実際の二人は大の仲良しだという。役柄上は言葉を交わすシーンは少なかったものの、撮影の合間に一緒に出かけたりもしていたそうで、思わず「あ、そうだったんだ。へえ……」と二人の交流に驚きの表情を見せる高杉の姿に会場はクスクス笑い。伊藤も「同じシーンが少ないからこそかな、という感じです」と笑顔で付け加えていた。
そして山吹の姉・紅を演じた向里は、自身の子ども時代を演じた子役について「本当にそっくりですよね」としみじみ。彼らをキャスティングするにあたり、向里と高杉の幼い時の写真を参考にオーディションを行ったと明かした森ガキ監督。それを聞いてあらためて向里が「幼少期の紅がなんとか家族を繋ぎ止めておかないとって踏ん張ってる感じがあって。常に力が入ってるんですよ。それがすごく良くて。それを見てるだけで私はもう、グッとしてしまいました」と紅の子供時代を演じた子役に心動かされた様子。
さらに、一緒に共演した高杉について「本当に好青年ですよね。優しいし」と語ると、その“優しい”という言葉にドッと沸いた会場内。高杉も「(優しいというのは)本当にそうか分からないですよ」と冗談めかしつつ、「そう言ってもらえるのはうれしいです」と素直な笑顔を見せていた。

山吹の母親・雪乃を演じた安藤も「私自身も母親なんですけど、(母親として)こうあるべきではない姿を雪乃は辿ってしまうんです。きっと山吹がわたしにかけてくれる優しさが生きる術だったのかなと。普通の愛をあげられなかったのが残念です」と、傷ついたまま現実を受けれることができなかった雪乃という役柄について振り返った。

雪乃の夫であり山吹らの父・淳吾役を演じた安田は、森ガキ監督に、なぜ自分に淳吾役をオファーしたのかと質問。その真意を、「どうしようもない男だなって。それにキャスティングされたということは、ん?と思った」と自虐交じりにコメントすると場内は笑いに。
森ガキ監督は、「安田さんはどんな役でもできる方なので、その中で何も言わなくてもちょっと不穏な、ミステリアスな感じを漂わせたいと思った」と安田だからこそのキャスティング理由を告白。その言葉に安田も安心した様子をみせていた。

イベント後半では、映画にちなみ「皆さんがこれまでについた『優しいうそ』を教えてください」というトークコーナーが。
まずは向里が「カフェで店員さんにお茶をこぼされて、びしょ濡れになったけど『防水なので大丈夫です』とうそをついた」というエピソードを披露。「そこで変な空気になると、店員さんがバイト時間中、引きずったままになってしまうかなと思って」という優しい配慮に、登壇者たちからは「優しい!」と感嘆の声が。
母親役の安藤は、かわいい女の子のイラスト付きで「これいいよ、ちょうだい」という会話の回答。「娘が食いしん坊で、おかずやスイーツを分け合っていても『もっとちょうだい』と言われると、自分は足りなくても『あ、いいよ』って差し出します」という役柄とは対照的な、親心あふれるエピソードを披露した。

さらに深川は「コンビニに住んでいる」と回答。「仕事終わりにマネジャーさんに送ってもらった時に、家の近くのコンビニで降ろしてもらったら、一緒に乗っていたマネージャーさんのお子さんに『コンビニに住んでるの?』と聞かれて。夢を壊しちゃいけないと思って『そうだよ、食べ物も飲み物も全部食べ放題なんだよ』とうそをつきました」と告白。かわいいエピソードに会場をほっこりとした空気に包みこんだ。
安田の回答は「大丈夫」。「『大丈夫』は魔法の言葉。やばいことがあっても『大丈夫だよ』と言うと安心するじゃないですか。ただし『大丈夫、大丈夫』と2回言うと大丈夫じゃないかもしれない(笑)」と語り、会場を沸かせた。

そして森ガキ監督は「テイク2」と回答。「テイク1を撮った時に『今の良かったですよ。もう一回いってみましょう』と言う時の『良かったですよ』は、自分の中での優しいうそなのかな」と現場の裏話を告白すると、これには登壇者たちも「大丈夫なのかな」と心配しながら笑っていた。
伊藤はというと、「嘘というか、みんなが”あぁ〜“ということかなと思うんですけど…」と前置きしつつ「初めて聞いたようなリアクションをした」と回答。その答えを聞いた瞬間、全員が”あぁ〜“とリアクションし、まさに!な反応に場内全体からも共感の声が漏れた。

最後に高杉が「タクシー……」と回答。「空港までタクシーに乗った時、運転手さんがすごくおしゃべりな方で。その方の壮絶な人生の話を聞くことになったんです。到着予定時刻がギリギリになって『まずいな』と思ったんですが、運転手さんが話に夢中になっていて。そのタイミングで『時間大丈夫?』と聞かれたんですが、話の腰を折るのも悪いなと思って『大丈夫です』と答えました」と述懐。それだけではなく、「タクシーの中で『もうこの人の面白い話を聞けるなら、次の飛行機でもいいかも』と覚悟を決めていました」と付け加えた高杉。結果的には小走りで空港に向かい間に合ったというが、このエピソードに登壇者たちも「優しいを超えてますよ」と高杉の人柄に感嘆しきりだった。

そんな舞台あいさつも終盤となり、最後に高杉がこれから映画を観る方にメッセージを。
「あらためて家族ってなんだろうと考えてみて…家族というのは、切っても切れないものなんだなと思いました。でも家族の24時間を全て知っているわけではないから、どこかで他人になっていたりもする。そんな中で、この映画は家族のことだけじゃなくて、隣にいる人のことも思いやれる映画なのかなと思っています。見えないだけで、いろんな人が事情を抱えて生きている。この映画は、そんな背景を考えさせてくれます。自分は映画とか作品というのは、人の人生を2時間でも1時間30分でも奪うものだと思っているので、見てくださった方たちが何か人生が変わるものがあればと思っているんですが、この映画は間違いなく、皆さんの価値観だったり人生というものを変える力がある作品だと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」と作品へのあふれる思いを明かし、舞台挨拶を締めくくった。